在りし日の「住吉・高灯籠」



高灯籠の見える風景

 高灯籠は、住吉大社境内前の浜にあった高さ約16mの常夜灯で、住吉の代表的名所として知られていました。灯台としての役割を果たすとともに、展望台としても利用され、ここからの眺望は絶景であった。昭和25年(1950)のジェーン台風で木造部分が破壊され石組みの台のみが残っていましたが、昭和47年(1972)に道路拡張のため撤去されることとなり、同49年(1974)場所を約200m東の現在地に再建されました。海は江戸時代から埋め立てがすすみ、新田が開発されていったのに加え、その後も埋め立てられており、ここからはかなりの距離があります。 

 
 
 
 
 


住 吉 大 社

 住吉の神さまは、俗に海の神とされています。正しくは、底筒男命・中筒男命・表筒男命という、イザナギノミコトのミソギハラエに際して海の中から現れた神、および息長足姫命(神功皇后)で、西暦211年、この地に鎮斎になったと伝えられています。実際の年代では干支二運(120年)をくり下げて5世紀初頭と推測されますが、大和政権の玄関口にあたる難波に鎮座して、遣唐使をはじめ大陸との渡航を守り、奈良時代以前より外交・貿易、またあらゆる産業を守護する神として称えられてきました。

 海の神ということは、わたくしどもの生命の根源を守る神を意味します。なぜなら、地球上の最初の生命は50億年ものむかし海の中に生じ、さらに1億7千万年前までに小型の虫類となって上陸し、進化を重ねて5千万年前までに人類が出現したとされますが、原初は海から生じたとされることは間違いありません。

 われわれの生命は地球を覆っている水の中に生まれ、何億年もの循環をくり返して、空気の世界に生長してきました。そして自分を出現させています。つまり大きな循環をくりかえしているものですが、その根源は海から生じたものといってよいでしょう。この海の底・中・表の津の男神と称え、住吉の神と崇めてきた古人の智恵に深い敬意を表する次第です。

住吉大社宮司  井 道 弘


大 鳥 居



 反 橋(太鼓橋)

 
大 社 内 部



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